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マイクロソフトがLumiaを日本で売らない理由。スマホOS3社のビジネスモデルの差から考えてみる

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先日、マイクロソフトがWindows10 mobileスマホを国内発表した。

Acer、VAIO、マウスコンピュータ、サードウェーブ(ドスパラ)等々の6社が参入・端末発売表明をしている。DSC03249

しかし当然入っているだろうと予想したマイクロソフト純正端末「Lumia」の名前が無い

当然、Microsoft Japanの社長に質問が多くなる。

マイクロソフト純正スマホLumiaの日本発売は? 日本MS平野社長、Windows 10 Mobileの国内展開について回答DSC03272
Q:自社のLumiaの国内発売は考えているのか。

A:当面の間はサードパーティーに注力。Lumiaについては今回新たなアナウンスメントをできる状況ではない。出すとも出さないとも決まっていない。

Q:日本のユーザーはLumiaは期待してもいいのか
A:先ほどと同じ答えになります

ソース :http://japanese.engadget.com/2015/10/14/ms-windows-10-mobile/

と、なかなか歯がゆい回答。
これにはOEMビジネスモデルというマイクロソフトの根幹ビジネスが関係していると思われる。

マイクロソフトOEMビジネスモデルとは?

マイクロソフトの基幹ビジネスモデルはOEMモデルだ。

最近でこそSurfaceを出したり、Nokiaのスマホ部門を買収してマイクロソフトがLumiaを販売したりしているが、基本的には「Windows」「Office」を主体としたソフト・アプリケーションメーカーである。

そしてそれらをOEMメーカーであるPCメーカーが、「Windows10パソコン」として販売する事で、プリインストールOS代やOfficeのOEM版をプリインストールしてもらって稼いでいるわけである。以下は2014年のデータだが、Licenseビジネス=OEMモデルで、約70%のRevenue(収益)占めている事が分かる。msft-revenue-h2-2013-620x482
ソース:CNET

まずこのビジネスモデルが前提としてある。

そしてWindows Phoneの環境を見ると非常に劣勢で、いまマイクロソフトは1社でも多くWindows Phoneメーカーが増えてくれることを望んでいる。
今回発表された6社にしてもブランド力が高いかというとそうでもないわけで、そんな中Lumiaブランドでマイクロソフトが「Windows10 mobileスマホ」に参入すると、ただでさえ少ないWindows10スマホのシェアの中で食い合いにあり、6社は早々に撤退となるかも知れない。

だからマイクロソフトは、Windows10 Lumiaを販売できる能力があるにも関わらず、OEMに配慮して自重していると考えられる。

Googleは広告主体のビジネスモデル

ではスマホOSトップシェアのGoogleのビジネスモデルはどうだろうか。

Googleのビジネスモデルは「広告業」だ。
Android OSは基本無料、いくらAndroidスマホが売れようが、基本的にはGoogleは儲からない。

だが端末が多く売れ、Googleで検索してくれる人が多くなれば、必然的に検索数が増え、検索結果に対する広告費は上がり、収入が増えるという計算だ。

つまりOSは無料で配布し、その他使いやすいアプリ、、、例えばGoogle Mapや無料のクラウドであるGoogle Driveといった便利なGoogle謹製アプリやサービスをどんどん無償で提供し、PCやスマートフォンの世界を使いやすくする事で、Google検索をしてくれる人を増やせれば、Google自体は儲かる。そういうビジネスモデル。goog-revenue-h2-2013-620x452
ソース:CNET

マイクロソフトと同様にデータを載せているが、広告業のWeb businessは62%、その他AdSense等のMember’s websiteの売上げ21%を合わせると、83%の収益を広告業から得ている事がわかる。

Googleはアメリカでは低価格でネット接続できるようなプロバイダーまでやっており、ネットインフラの障壁が少しでも撤廃していけば、最終的には儲かるという算段からこういうこともやっている。非常に面白い角度のビジネスモデルだ。

Appleは端末を売るで儲ける昔ながらのスタイル

日本では絶大な人気ののApple。iPhoneにしてもMacBookなどのPCにしても、Appleのビジネスモデルは「ハードが売れてなんぼ」の世界だ。

最近ではiTunesやApp Storeなどのアプリインフラビジネスもあるが、基本的にはハードが主体と考えて良い。aapl-revenue-h2-2013-620x420
ソース:CNET

上記のように、データ上でもハードウェア販売が90%以上を占めている。ソフトウエアサービスも力を入れているが、iPhoneがたくさん売れなければ、iTunes/App Storeも儲からないからあくまで付帯サービスと考えて良い感じ。

よって、Appleが収益を上げるには魅力的且つ利益率の高いスマホ端末、PCが必要。
だからAppleはデザインや自社の広告に力を入れるし、国内キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)には、「**万台売れ」とiPhoneを提供する代わりに販売台数を強気にコミットさせる。

そうしないと困るビジネスモデルだからだ。

安く良い端末を作り、利益率の高い端末・PCを作ることがAppleの利益に繋がる。
一説にはiPhone1台の利益率は60%を超えると言われていて、「ぼったくりだ」とい声もあるが、それはAppleという会社のビジネスモデルを理解していれば仕方の無い部分であり、その戦略に従っているだけで、それでも買いたくなる魅力的なモデルを販売している希有なメーカーであるという点で凄い会社であることに間違いはない。

3社3様のビジネスモデルを理解しておくと面白い

ここまでの事は「基本的」なビジネスモデルと考えて欲しい。
GoogleもMSもAppleもビジネスモデルは多様化していて、いまは様々な部分で儲けを出そうと必死。

特にマイクロソフトは、PCの世界では覇者だが、現時点ではスマートデバイスの世界ではLoser(敗者)でありUnder Dog(負け犬)だ。

ただそれはコンシューマの世界での話であり、法人ビジネスにおいては相変わらず覇者だ。

Chrome OSやMac OSをビジネスの場で使用する会社は非常にマイノリティーだし、むしろ情シスなどのIT部門から見れば、コントロールできないAndroid、iOSなどは出来れば使いたくない。

なぜIT部門がマイクロソフトに絶大な信頼をしているかと言えば、過去彼らがずっとつきあってきたOS:Windowsだからという面もあるが、マイクロソフトが地道にサポートし、改善体勢が整っているからだろう。

ウイルスやハッキング対策は必要だが、社員へのデバイスとしてはWindows PCは間違いの起きづらい体勢が既に出来ている。そういう安心感から、日本では積極的にiOS/Androidからの社内接続を推進できていないのではないかと思う。

その為、Windows Phoneは法人顧客としては、安定性・価格などのバランスが整えば是非とも欲しいデバイスなのでは無いかと思う。
Windows10のPCで作成途中のパワーポイントを、外出先ではWindows10 mobileスマホからアクセスし、顧客の前でモニタ接続するとスマホのクローン画面ではなく、Windows10ライクな画面が表示され、スティックPCのように動作するWindows10 mobileの『Continuum』機能はまさにビジネスの場では最適だ。マイクロソフトはここに勝機を見いだそうとしている。connect-740x420

そんな中、AppleはMacOSのPCを強気に売れないし、そんな部分に注力を注ぐよりiPhoneを大量に売った方が儲かる。

GoogleもWindowsの牙城は崩したいので、低価格なChrome Bookを発売して裾野を広げようとしたが、マイクロソフトもWindows8.1 for Bingなどを無償配布して食い止めた。

いまこの3社は、自分達のビジネスモデル基盤をしっかりと守った上で、他社の牙城を崩そうとお互いに躍起だが、その強みと弱みは互いにビジネスモデルによって生まれている。マイクロソフトはLumiaとSurfaceでハードウェア事業に手を出しているし、GoogleもMotololaを買収したり、nexusシリーズを出してハードビジネスを軌道に乗せようとしている。

Microsoft、Apple、Googleが何か新しいサービス・製品を出すとき、彼らのビジネスモデルを想像してから「なぜ彼らにとってそれが必要だったか?」を考えると、いろいろとIT業界の主たちがいま何を考えているかが分かるようになる。

マイクロソフトがLumiaを日本で発売するとき、それは国内のWindows10 mobileスマホがある程度販売が苦戦したときだ。OEMメーカーが苦境となりLumiaを投入しても、OEMメーカーの販売に影響がなく、むしろWindows10 mobileスマホを再活性化できるタイミングだろうと思う。

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