久々にゲームプレイで「凄い」と素直に拍手したくなったので紹介。
PS4ゲームソフト「デトロイト:ビカムヒューマン」です。*以下デトロイト
デトロイトとは?
フランスのゲーム制作会社「クアンティック・ドリーム」という会社が作ったアクションアドベンチャーゲームで、『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』『BEYOND: Two Souls』といったゲームを以前にプレイした事がある方なら「あーあれね」と分かるはず。美麗なグラフィックと野太い映画のようなストーリーで結末の知りたさに止めどきが分からなくなる中毒性の高いアレです。
さてストーリーは未来の話で、西暦2038年と20年後の世界。
人間と見まがうばかりのAIアンドロイドが8000ドルとかで発売されている未来の話。そのアンドロイドは優秀で、子供の世話、家事掃除、道路工事労働、果ては夜の方までできちゃう万能っぷりで、人の世に溶け込んでいる。そのアンドロイドの内面を描いていくところがストーリーが進んでいく。
映画ではできないストーリー分岐が凄い
アンドロイドは完璧に人に奉仕する”モノ”なのですが、中には「変異体」と呼ばれる、人に従うという命令を逸脱し、人殺しまでしてしまう個体が現れる。そういう変異体の事件を解決するのもアンドロイド。以下はアンドロイドの最先端プロトタイプである主人公の一人であるコナー。
最初の事件は、そのコナーが子供が人質に取られたのを交渉人として担当するというもの。多少ネタバレになりますが、以下E3でのトレーラーが『デトロイトってどんなゲームなのか』がとてもよく分かるムービーになっています。超序盤なのでこれぐらいはネタバレしても良いでしょう。
ムービーをみれは分かりますが、選択肢によってストーリーがどんどん分岐していきます。それによって容疑者を説得できたり、嘘をついて欺いたり、自分が殺されたり、子供も容疑者も救えない未来もあり得ます。
そして凄いのはどのような結果になっても「ストーリーはそれを元に進む」という点。ゲームオーバーがありません。アンドロイドである自分の行動で周りに影響し、またそれがバタフライエフェクトのようにどんどん影響され、他の主人公であるカーラやマーカスにも影響してくることもあります。
3人の主人公の2人目のカラーは家政婦アンドロイド。
カーラはいわゆる「変異体」になってしまいます。それは、レッドアイという麻薬中毒の父親に虐待されるアリスを助ける為に、主人であるトッド(アリスの父親)の命令に背き、アリスを助けようとするため。つまりアンドロイドが子供を助けるためとは言え、命令に背いたわけで、「正義」とか「人道的」なことの為にアンドロイドは命令に背くのか?という点でこの行為はこれからのストーリーの根幹に関わってきます。
3人目のマーカスも同様。彼は足の悪い芸術家:カールの家政婦アンドロイドとしてお世話係をしているのですが、カールはマーカスに自我を与えようとします。これ以上はネタバレになるのでゲームにて試してほしいです。興味があればトレーラーもありますが、できればあま見ないほうがいいと思います。映画ってネタバレしたら終わりだと思いますしね。
自分の選択を繋ぐ映画という斬新さ
マルチエンディングというのは過去のゲームでもありましたが、デトロイトは最終的にはいくつかのエンディングに収束するとしても、それまでの課程を「自分の選択」でストーリーが進み、それが様々に影響して動いていく事になります。
影響度はそこにいる主人公以外の人との関係、また世論なんかも影響してきます。その関係性が良好なら同じ選択をして受け入れられたり、悪ければダメだったりもします。
そしてこれがデトロイトというゲームの芯の部分だと思いますが、どの選択をしてもそれは「私のストーリー」であると言う事。
ハッピーエンドのようなものもあるし、バットエンドっぽいものもあります。しかしそこに正解はない。
善人だから成功するとも言えないし、悪人で非難されても、それはそれで一つのストーリーなのです。
これからデトロイトをする方にはこれをちゃんと理解しておいたほうがいいです。たとえば助けたいと思って行動していたが失敗して死んでしまった・・・としてもリトライをしない事をお勧めします。あとでチャプターだけやり直せるのでまずは通して最期まで「自分の選択」を受け入れると楽しめます。
だから攻略サイトなんてものはまずは見ないでおきましょう。ネタバレの宝庫ですよ。映画で先のことが分かったらつまらないので絶対みないでプレイしてみましょう。約束だぞ。
私はこの週末に3週目に突入しましたが、いまだに新しい選択肢によるストーリー分岐の発見に驚いていますし、またそれを楽しめています。
考えさせられるゲーム
主人公達はアンドロイドで、いわば機械。このアンドロイドにどれだけ感情移入ができるかというのが最初ゲームを始めたときの心配だったのですが、まぁーほんとによくできたアンドロイドで、感情を表情には出さないものの、悔しさ、苦悩、安堵などはよく伝わってくる。
アンドロイドに自我が目覚めるか、必要なのか、悪なのか。
これはSFでアンドロイドやAIを取り扱ったものではよくあるテーマだし、ブレードランナーや攻殻機動隊のタチコマなんかもそうなんで、これから起きうる未来の話としては身近とも言えます。20年後の未来ではアンドロイドを取り巻く人間環境(失業率が高い)の悪さもあり、アンドロイドに全てを任した未来は決してハッピーばかりではないわけです。デトロイトはそこを一つ掘り下げてアンドロイド側の視点での物語展開をしていきます。
アンドロイドは人間に尽くすモノというスタートラインですが、AIの進化で自我が芽生えたら?と考えると単一の個体としては愛情も沸くでしょうけど、それが決して相容れない性格のものであれば(例えば暴力的であったり)、世の中に放つのは危険だし、それが軍隊のような組織だったものになったとすれば明らかに人間の脅威になるでしょう。デトロイトはアンドロイド視点の話なのですが、そういう人間側の思考や立場としても考えていかないと、単に「面白いゲーム映画だなぁ」ぐらいの感想で終わる浅いゲームになってしまう。いきなりこんな未来は来ないだろうという予測もできるのですが、技術の進歩と「人間、楽をしたい」という欲求は終わりを知らないわけで、一度近いモノができたら、どんどん進化してこのデトロイトのような未来がやってくるのかもしれないと想像できる。そしてやはり「アンドロイドやAIに自我を与えるべきなのか?」と心底考えさせられる。そんなゲームなんです。
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