docomoが2015年夏モデルとして、スマホ6機種+GalaxyS6 2機種が発表されました。
GalaxyS6は既に発売済みの為、抜くとして6機種は国産スマホなのですが、どうも何が変わったのかよく分からないものばかり。
発表されたスマホを見ても、デバイスとしてのワクワク感が無い。
特に「Xperia Z4 SO-03G」は、見た目からして「Xperia Z3」と何が違うのかすら素人目にはさっぱり分からない。
出典:http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1505/13/news053.html
左がZ4で右がZ3なのだが、消費者がぱっとわかるような違いは見いだせない。
一応、スペックが進化したり、USB端子がキャップレス防水になったりはしたが、それは他メーカーがいままで当たり前にやっている事であり、やっとXperiaが追いついたに過ぎない。
XperiaというAndroidではかなり大きなブランドの新製品であるにも関わらず、なんら物欲が刺激されないって。
こんなんでいいのだろうか?
キャリア依存体質が魅力的な端末を無くす
日本のスマホはほぼキャリアを通して販売され、そのキャリアに絶大な販売力があるため、いままで日本のスマホメーカーはそのキャリアの中のライバル達と戦う事はあっても、それなりの端末さえ作れば、バンバン売れていく傾向にあった。キャリアの販売奨励金もあり、キャリア側が端末代金を負担する事で、実質無料や、一括0円などの端末が当たり前で売られている。一括0円で売られても、ソニーやシャープは卸値価格が変わらず、むしろキャリアが0円でバンバン端末を売りさばいてくれる事で潤っていた。
その端末料金は、キャリアのユーザーが高い利用料を払うので、キャリア自身も懐は傷まず、結局はユーザーの利用料に跳ね返り、いまのスマホ利用料が最低6000-7000円~になっているのはその仕組みのおかげだ。
docomoやauなどのキャリアが指定した時期に「新製品」を発表すれば端末は売れ続けるので、日本のスマホメーカーは腑抜けになってしまったと感じる。
SIMロック解除義務が2015年5月から施行されるが、日本のスマホメーカーからすればどのキャリアで使ってもらっても端末さえ売れれば良いわけで、全く彼らには意に介さずというところだろう。
実際こんな記事もある。
今回は反対されたのに義務化を決めた。4年前に携帯大手と足並みをそろえて猛反対した国内端末メーカーが一転、容認に傾いたことが大きい。
総務省は昨年秋からソニーやシャープなど端末メーカーに解除の義務づけを受け入れられるか、内々に聞いた。ある会社の幹部は「うちはぜんぜん困らない」と話し、別の会社は「一気にやるのでなければ」と答えた。総務省幹部は「メーカーの姿勢の変化が追い風になった」と明かす。
引用:日本経済新聞
ただSIMロック解除で困るのはキャリアで、キャリアでは高い通信料を払う顧客にSIMフリー機を0円で売っていたのでは儲けが出ないので、端末代金を高めに設定するかもしれない。
そうなればソニーやシャープの端末価格は、シェア爆走中のiPhoneと勝負する可能性もあるわけで、そうなると端末魅力では勝てないから販売数が落ちる可能性もあるわけだ。
格安SIM(MVNO)向け販売に活路を見い出す
格安SIMの台頭で、中華スマホに安心感を得られないユーザーの希望もあり、最近では格安SIM端末とは言え、ある程度ブランド力と端末の性能をキャリア並みに求められるようになってきた。
そこでソニーやシャープは販売経路の模索として、このようなMVNO向けに端末を売り始めた。
ソニーはXperia J1 CompactをSIMフリーとして売り出し、
シャープは、AQUOS SH-M01を販売している。
スペック的には、キャリアの最新端末の1世代前といった感じだが、キャリア端末は最新スペックを追求しすぎる為、1世代前でもなんら問題ないスペック。
J1 Compactは、CPUが2.2GHzクアッドコアと、ほぼ最新と言ってもいいぐらいだ。
但し最新機種であり、iPhone6Plusと同等スペックを備える ASUS ZenFone2が3.5万円程度なのに対し、Xperia J1 Compactは5.4万円と段違いの高価格。
AQUOSも同様で、この価格には一層の努力が必要だが、SIMフリーという戦場にソニーとシャープが降り立った事は一歩前進だろう。
SIMフリー機という戦場の意味
SIMフリー機というのは、確実に「端末価格」と「製品魅力」がモノを言う。
ZenFoneシリーズが爆発的に売れるのは、性能・コスト・端末デザインの3つが揃っているからで、ソニーのようにデザインが良いけど端末価格がZenFone5の2倍、ZenFone2の1.5倍では売れない。SIMフリーであっても、iPhoneは平気で8-9万円の価格で売れるわけですから、「うちはそこらの端末違う」と5万円で売っているように見える。
だが、自分達で撒いた種が原因か分からないが、キャリアで0円で売っていた端末だけに、ユーザーからの評価はキャリア端末でせいぜい4万円程度であろう。
まして型落ちレベルのスペックであるSIMフリー機端末であれば、3万円くらいで売れれば御の字ではないだろうか。
SIMフリー端末で求められることは、実際の価格以上の価値がある端末が歓迎される点である。
Ascend Mate7が売れるのは、Nexus6に近いスペックでありながら半値の4万円台で買えることであり、ZenFone2ならiPhone6 Plusと同等スペックであるにも関わらず半額以下どころの騒ぎではない。
しかしソニーやシャープ、富士通がこのSIMフリーの戦場に足を踏み入れた事の価値は、これから分かるだろう。
型落ちスマホを5万円で販売しても売れなければ、撤退するか、ZenFoneシリーズやAscendシリーズと戦って勝てる端末を作らなければならないからだ。
特に安くて良質なスマホを。
私はここに僅かながら「日本のスマホメーカーが世界に行って勝てる勝機がある」と感じている。
日本のスマホメーカー復活の勝機
ソニーのスマホ戦略は「ハイエンドに特化」と報道されていますが、ハイエンド端末は粗利率が高い為だ。
iPhone6 Plus 64GBの粗利はなんと60%もあるとされ、iPhone6 PlusのSIMフリーは11万円もするので、Appleは端末1台を売ると6.6万円も儲けが出る。
このAppleの爆進を受け、Xperia擁するソニーも「うちもうちも」と狙うわけだが、二匹目のドジョウにはあまりおこぼれは無いもので、最初の話に戻るが結局のところXperiaにはAppleを凌駕できるほどの端末の魅力があるわけでもなく、単にスペックが高くてそこそこデザインがいいAndroid端末の域を出られていない。
Androidでは最強のサムソンのGalaxyだって、苦境に立たされる昨今。
AppleだってiPhone5Sを出した時はマイナーチェンジだと相当叩かれた。
そんな世界にいる日本メーカーのこんな端末では世界では売れないのである。
だからこそ。
キャリアの販売でボロ儲けを狙ったり、iPhoneのおこぼれをもらおうとしたりせず、原点回帰で「安くて良い端末」を是非出して欲しいのです。
デザインにしても、Xperiaの「オムニバランスデザイン」に固執するあまり、旧態依然としている。
カメラが凄いとかCMしているが、それはそれで素晴らしい事だけど、世界で端末が売れる要因にはなりえない。
「あ、ソニーが新しい事をやっているぞ」とか「スペックそこそこだけど、安くて使いやすい」とか、大多数の一般のユーザーの求めている事はソコなんです。
日本の強みって「安いけど品質がしっかりとした製品」じゃないですか。
クラウンみたいな高級車しか売っていないなら、クラウン狙いの一定層が居なくなった時に「撤退」の二文字しか残らない。
SIMフリー機として、ZenFone2やAscendシリーズと戦い、「端末価格」「製品魅力」で勝ち残っていけば、いつかGalaxyやiPhoneのユーザーが「半値以下で良い端末があるならそっち使うよ」とブランドが失墜して、押し寄せた際に勝者になる可能性だってあると思う。
日本のスマホメーカーには本当にガチで勝負に行って欲しいし、行かないと各自にキャリアとユーザーにそっぽ向かれた時に終わってしまいます。
PS:Xperiaは廉価版が海外でたくさんあるので、是非日本でもSIMフリーとして一般に流通させて、もっとラインナップを増やせばいいのに。