アニメ「サイバーパンク: エッジランナーズ」感想~涙腺崩壊。とにかく最高だ。それしかない。*後半ネタバレあり

先週、ちょうど飛行機で移動があり、その最中に見るなにかを探していた。
何だって良かったのだが、アニメ「サイバーパンク: エッジランナーズ」がネットフリックスオリジナルアニメとして公開されたので、全10話を事前にダウンロードしておいた。

そして行きの待ち時間含め4話までみた。

こいつはやべえ。

と言う事で一気見したのだが、間違いなくここ4-5年で最高のアニメだった。

感動し泣いた。しかも号泣だ。

そんな勢いでエッジランナーズについて書き殴ってみた。

期待してなかったアニメ化

サイバーパンク2077はPS5でプレイ済み。ゲーム自体は当初バグだらけ。
でも私はクリア後に3周するぐらいストーリーと世界感が好きだ。

攻殻機動隊も好きだから、こうしたディストピアなサイバー未来の話はすっと入ってくる。

しかしだ。

見る前の期待値は「どうせスピンオフアニメだ。時間つぶしにはもってこいだな」「サイバーパンク好きだし一応見ておかないと」程度。

このタイトル絵だけみれば、そんな期待感MAXとはならないだろう。サイバーパンクの世界感でかっこいい女の子と奮闘する青年という事ぐらいしか想像が付かない。

最初はまったくもってそのとおり。だが4話の頃には「これ、すげぇぞ」とぞっこんのめり込んでいる。

オープニングはめっちゃかっこいい、音楽も相まって気分が上がる。

ストーリーはゲームと似たようなシチュエーションだが、のめり込むに充分なアツい展開。

ストーリーはまさにサイバーパンク2077

アニメはスピンオフだが、ゲームのサイバーパンク2077の1年前を描いている。

ゲームを知らなくてもエッジランナーズは楽しめるが、簡単な世界感を知っているとより楽しめる。
ゲームをしているならもっと楽しい。

あらすじ。

主人公のデイビッドはアラサカの私立学校に一人親の母が通わせてくれているが、アラサカはこのサイバーパンクの世界では2大テック企業の一つ(もう一つはミリテク)で、ゲームをプレイしていればこの「arasaka」が如何に凄い会社か分かると思う。この二つの企業が世界を支配している状況がサイバーパンク2077の世界。
この企業=上流階級のコーポが支配し儲けているせいで、一般人はなかなか這い上がれない。

そんな状況を危惧して母はアラサカアカデミーに息子を通わせたわけだ。
成績は優秀だったが、貧乏という事でいじめられる。
母もたまたま出会ったギャングの抗争に巻き込まれ亡くなる。
ここナイトシティでは命は安い。死は突然だ。

一人親の母が亡くなり、金が尽き、不幸のどん底。

だがその母は別の事件で死亡した犯人がもっていたインプラント「サンデヴィスタン」をくすねていた。そう。母は遺品をぱくって捌いた金でデイビッドを学校に行かせていたのだ。それだけ聞けば「泥棒の息子の話か」となってしまうが、ここはサイバーパンク。常に死と隣り合わせ、命は安く、生きるだけでも皆必死。

ゲームをしていれば分かるが、サンデヴィスタンは自身のスピードを高速化し、自身から見れば周りがスローに見えるインプラント。

サイバーパンクでは身体を機械化する事をインプラントを入れるという表現をするが、このサンデヴィスタンはしかも軍用で、身体に合わないとすぐにサイバーサイコ化(自我を失い発狂し暴走する)してしまう。

デイビッドは金もない、頼る人も居ない、アパートは追い出される、学校ではいじめられるしそもそももう学校にも行けない。だがサンデヴィスタンだけがある。

リパードクと呼ばれるインプラント専用医者に行き、無理矢理サンデヴィスタンを着けさせる。

そんなところから話しがスタートする。

ある日電車の中で、チップを抜き取るスリ”ルーシー”と出会い、その仲間のギャングに拉致され、結果としてギャングに入隊する。それがエッジランナーと呼ばれる集団。エッジを走る者、、、つまりは死と隣り合わせというわけだ。

以下は私の書きたい事を書いていますが、ネタバレ含むので、エッジランナーズ見たいと思ったなら以下は見ないように。まだ見てない方はすぐにNetflixへ。損しないから、騙してないから。ね。

【以下ネタバレ含】仲間、戦友、愛

ここでデイビッドは下っ端として、様々な経験をし、男となり、成長していく。

リーダーのメインは父のような存在で、デイビッドをかわいがり、対話し、成長させていく。
まさに上司でありリーダーであり、長男でもあり父でもある。

他にもメインの彼女のドリオ、キウィ、ビラル、レベッカ、そしてルーシーというメンバーと共に、裏の仕事をしつつ成長し、仲間、戦友となっていく。

ルーシーはミステリアスで、ネットランナー(ハッカー)としての仕事っぷりに憧れもありつつ、愛し合う間柄になっていく。

しかしとある事から兄貴のような存在の仲間が死ぬ。

ボスの”メイン”はチームを背負い、インプラントで強化しまくった結果、サイバーサイコ化をなんとか抑制剤で防いでいる。ただそれも限界が訪れ、チームのトップ2が亡くなってしまう。

後半は怒濤の展開

デイビッドは即座にチームを引き継ぎ、メインと同様にインプラントを次々にインストールし、身体もでかくなり、チームを一気に支える存在になる。

どんどんヤバイ仕事を引き受けるが、デイビッドもメインと同じくサイバーサイコ化一歩手前の状況。

ルーシーはルーシーで、タナカというアラサカの重役の脳をダイブしてみたときに軍用インプラントのサンデヴィスタンの耐性適正があるデイビッドを狙っている事を知り、デイビッドを追うネットランナー(ハッカー)を次々と暗殺していたのだ。こんなことデイビッドには話せない。デイビッドはチームを背負う為にどんどんインプラントを入れ禁断症状すらでている。デイビッドはルーシーと共に暮らしているものの、互いに本音で話せないぎくしゃくとした雰囲気となっていく。

チームとして裏稼業でのし上がる。これがギャングの一つの成功だ。

そしてデイビッドは成功者になりかかっている。

だがデイビッドは無理に無理を重ねて限界に近づいている。

そんな中、遂にデイビッドがアラサカに目を付けられる。
ルーシーは仲間のキウィに裏切られ拉致される。

デイビッドも罠にはめられ、サイバースケルトンと呼ばれる武器の実験としてミリテク(アラサカのライバル軍事企業)相手に実地データを取るよう仕向けられる。簡単に書いているがほぼ絶対絶命。ただでさえデイビッドは限界なのに、サイバースケルトンをインストールし、抑制剤無しではもう自我が崩壊するため常に抑制剤が必要な状況。

それでもミリテクを退けるが、ルーシーがアラサカに捕まっていると知ると、今度はアラサカに突入する。

普通、ここで「アラサカに喧嘩売る」なんてことをすれば、命の安いサイバーパンクの世界では、チームメンバーは下りたと言うはずだが、幼女キャラのレベッカ、ドライバーのファルコは説得が無理と分かると腹をくくる。

ここ凄く潔い。

そして涙腺崩壊

サイバーパンク/ナイトシティのギャングは、どう生きるかではなくどう死ぬか。という言葉があり、まさにそれを体現したかのような腹のくくり方がとにかくカッコイイ。

レベッカはデイビッドにルーシーという恋人がいるにも関わらず、デイビッドを慕い、デイビッドが正気に戻る為にルーシーを救いにいく。デイビッドが無理をするのはルーシーの為だからだ。
そしてデイビッドが伝説級の死に向かうなら添い遂げてやるぜと言わんばかりに、無茶を聞いて闘う。それがもう健気すぎる。

そして、ゲームにおいてのラスボスであるアダムスマッシャーと対峙することになる。
身体の96%をサイボーグ化したアダムスマッシャーは、デイビッドとは比較にならないほど強い。

アダムスマッシャーに追われながらも、デイビッドはルーシーをなんとか奪還。

さて逃げるか。
ファルコに何かお願いをするデイビッド。
ルーシーと再会したレベッカは「デイビッドが喜ぶからな」と声をかける。
いじらしい最高の女だ。

レベッカの気性からすれば略奪愛とかもあり得るわけだが、デイビッドが喜ぶほうを優先するのが泣ける。その瞬間上から落ちてくる敵を迎撃するレベッカ。

次の瞬間、落ちてきたアダムスマッシャーに踏み潰されレベッカが瞬殺されてしまう。

私はこれを帰りの飛行機の中で見ていたが、涙腺崩壊。

一人すすり泣く完全に怪しいヤツだ。

ここでファルコに先ほど耳打ちしていたことが分かる。
ファルコとルーシーは逃げろと。
デイビッドはアダムスマッシャーを足止めする。

しかしアダムスマッシャーからすれば、デイビッドのサンデヴィスタンは時代遅れであり、全く歯が立たない。
それでもデイビッドは時間稼ぎをした後、アダムスマッシャーに殺されてしまう。

2回目の涙腺崩壊。

デイビッドは死ぬが、満足そうな微笑みで死んでいく。

何を成したじゃない、どうやって死んだか。それがナイトシティの世界の伝説になるって事だ。

デイビッドの希望はルーシーが生き残る事。
「母さんもメインも守れなかった。キミだけは守りたかった」

デイビッドからすれば、金無し家無し不幸のどん底だった自分が今あるのは全てルーシーのおかげだ。
そしてチームメンバーのおかげだ。
そんな自分を受け入れ愛してくれたチーム、そしてルーシーに生きて欲しい。

バッドエンドに向かいつつあることは分かりつつ、みんなのために破滅を選んだデイビッドは、愛する人を救ってアラサカ相手に喧嘩を売り死んだ。これぞナイトシティで伝説として語り継がれる話。

エンディングでルーシーは月に向かう。

ルーシーは「月に行きたい」という夢を序盤にデイビッドに語っていてそれを実現させたが、デイビッドはファルコづての伝言で「月、一緒に行けなくて ごめんな」と伝えていた。逃がした段階でデイビッドは自分が死ぬと分かっていたのだ。

若造で悶々とした不満はあっても、金も無く学も無いデイビッド。
サンデヴィスタンをインストールする覚悟を持った時、全て自分が選び決める人生を得ることができた。
それが自由を得ると言う事だ。
だからルーシーにみんなの役に立てるなら死んでも良いとすら思った。
このどう生きてどう死ぬかをデイビッドの話として追体験したかのような感覚が得られるのがエッジランナーズだ。

それでも死んで欲しくない人達がどんどん死んでいく。見ながら実はどこかでデイビッドも生き残るんじゃないかと楽観視していたところもあった。が、生き残っていてうっすらハッピーエンドというのはやはりナイトシティではない。

ルーシーはこの後どう生きたのか、レベッカは自分の生き様に満足したんだろうか、という事を考えながら、機内で鼻をすする男。さぞかし奇妙で気味が悪い男だったはず。偶然にも隣は誰もいなかったのが少し救いだ。
ただ、もうこんな凄いストーリーを見せられたら、別に泣き顔見られてもいい。それぐらい清々しい。

いわゆる神アニメ

正直、サイバーパンク2077のヴィーのストーリーより素晴らしい。
ヴィーの話しも壮大だが、エッジランナーズはアニメとしてのたたみ掛けるスピード感が何より凄い。

見る前に情報を入れないのが私の流儀なのだが、結果的に「スピンオフアニメでしょ?」と侮っていた自分を褒めたい。変な情報を入れずに見た事がプラスに働いたと思う。ここまで書いて「ネタバレせずにみたほうがいいぜ」というのは申し訳ないが、エッジランナーズについて書き殴りたかったのだ。どうしても。

私自身、多分ここ数年で1番ワクワクし、心を揺さぶられ、感動し、泣いたアニメ。

挿入曲の”I Really Want to Stay at Your House”を聞いただけで涙がでてくる。

見終わって、皆が幸せになる未来があったのかと考えてしまう。

ルーシーが追っ手のネットランナーを殺していなければ?
それはデイビッドがいつか今回のような目に遭わされる未来が早く来るだけ。

デイビッドがインプラントをバンバンインストールしなければ慎ましく生きていけたのでは? 
既に最初にサンデヴィスタンを入れた段階でタナカに見つかっているので、どちらにしても未来は決まっていた。

ルーシーとデイビッドで逃げる? 
アラサカから逃げ切れないのはキウィが裏切らされた事でも明白。ルーシーはアラサカから逃げたが、仲間は大勢死んでそれが多分無理な事は分かっていたと思われる。

結局、サンデヴィスタンをインストールした段階でデイビッドの未来は概ね決定していたわけで、それをルーシーがネットランナーを殺す事で先延ばしにし、デイビッドはアラサカ等の大きな敵と渡り合うために強いインプラントをインストールしていく事で敵を払いのけられていたわけだ。つまり彼らは最善の選択をしていた。

が、結果は変わらない。どの未来も帰結している。それが分かっただけでも切ない。

エッジランナーズはTVでは放送できないグロレベルにはあるが、だからこそ変な忖度無しで吹っ切れている。
ネットフリックスオリジナルはこういう形で振り切れるのが一番良いというベストケース。

人は選ぶが、是非見た方が良い。

ゲームでもパッチ1.6でエッジランナーズコラボ

エッジランナーズを見終わったなら「アダムスマッシャー許すまじ。ちょっとあいつ殺ってくる」という気持ちになるはず。そして既にサイバーパンク2077ではパッチ1.6が公開され、エッジランナーズコラボイベントが3つ、デイビッドが来ていた母の形見のジャケット等がもらえる。

アダムスマッシャー殺る前にエッジランナーズイベントをヤリに行こうと思う。

アフターライフでデイビッドマルチネスという酒を飲んでから、サンデヴィスタン装備してレベッカの銃を持って。

関連リンク

・公式サイト : Cyberpunk Edgerunners

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